八幡神社

越前市朽飯町22-33(平成20年11月2日)

東経136度15分47.64秒、北緯35度56分7.05秒に鎮座。

 この神社は鯖江駅の東約6.7km、八幡山南東麓に鎮座しています。
 道路端に建つ社号標を右に見て一の台輪鳥居を潜り、約150m程進むと、大きな杜の中へと続く二の台輪鳥居と石段の参道があり、境内入口に三の台輪鳥居が建っています。左手には手水舎、右手には神輿殿が建つ境内は、沢山の木々が聳え立つ豊かな杜の中にあり、正面左右に石段の参道が造られています。左側の石段が八幡神社へと続く参道で、拝殿には藁を白布で包んである珍しい注連縄が掛けられています。その奥、一段高く建立されている三間社流造の本殿には陶器製神殿狛犬がいました。
 その右手には境内社の幡生神社が祀られ、その傍らには百済系の弥和という女人が望郷の念に駆られて座り続けたという悲しい機織り伝説のある大岩や、弥和さんがこの地に来て養蚕機織りを教え広めたおり、この池の水を使ったという機織りの池があります。
 又、境内右手には境内三社(神明神社、稲荷神社、白山神社)が祀られています。
 深い森の中に静かに鎮座するこの社の佇まいは神寂しさが感じられ、身も心も洗われた新鮮な気持ちで帰路につくことが出来ました。

 御祭神:天萬拷幡千幡比責命(機織の祖神)、譽田別尊、ヒ速日命
 祭礼日:1月1日・歳旦祭、2月11日・建国祭、厄除祭、左義長祭、4月10日・祈年祭(春季大祭)、幡生祭、9月敬老日の前日・宵宮祭、獅子返し、9月敬老日・秋季例大祭、御輿渡御、9月敬老日の後日・後日祭、11月23日・新嘗祭
 境内社:幡生神社、神明神社、稲荷神社、白山神社
 由緒:社伝によれば往古は架幡神・応神天皇・服部連祖神の三柱を祀る服部郷の総社で、国内神名帳には正五位八架神と出ています。
 創立の年月は不詳ですが允恭天皇(412〜452)の御代樋之速日命の12世神孫麻羅宿祢の後裔、服部連が織部司に任ぜられ当地に下向し、郷民織部等を総領しました。この時地名を服部郷と改め、ヒ之速日命を八架神に合祀して鎮守としたのが起源とされます。
 その後顕宗天皇(485〜487)の御代百済国奴理使主の後孫阿久太子の弥和をはじめ機織に長じた織姫たちが渡来し、養蚕と絹織の技術を郷民に教え産業を興し、この絹織物は貢物として都に上納され、知名度は高まり機織業は繁栄しました。一説には村名を百済氏と唱えたこともあるといい、郷民をはじめ世々の国司・地頭からも総社氏神と篤く尊崇されました。
 奈良時代の神亀3年(726)頃八架神の神宮寺として朽飯寺が創建され、文治元年(1185)平氏滅亡と共に源頼朝に追われた舎弟の三河守源範頼が同3年当地に落ちのび、東庄境の岡谷に居城し当社を信仰しました。弓矢・太刀を始め軍器を奉納し、これまでの八架神を八幡神と改め正八幡宮として源氏の氏神を尊崇しました。範頼は越前三位道盛郷の息女日吉姫を室とし、建久4年(1193)天引部山に七堂伽藍を建立、その年範頼は他界し日吉姫は追善のため出家して浄円禅尼となり、亡君の遺言によって持仏の阿弥陀如来の檀像を、機織伝来の由緒に因み真奈蛮(お香)を入れた苧桶に納めて本宮に安置しました。神亀3年(726)以後33年毎に開扉されてきた古い御神体に代り、この尊像が新しく開扉されることとなりました。
 その後北条時頼が北国を巡国した際、朽飯の吉祥坊より古記録を見せられ感嘆して百町歩の田地を寄進し、社殿・僧坊32宇が建立される等大いに隆昌しました。
 天正3年(1575)織田信長の将監滝川一益による一撲討伐によって堂社・僧坊は悉く焼失しましたが、天正6年(1528)年頃から再建が始まり文政8年(1825)本殿が再建されました。
 明治維新には神仏分離により社僧や別当を廃止し、社名を八幡神社と改称、明治12年8月郷社に列せられ、同41年8月16日に神饌幣帛料供進の神社に指定されました。

朽飯八幡神社公式サイトはこちらで

社号標「郷社 八幡神社」 神社遠景と一の台輪鳥居
人家の間を一直線に伸びる参道 石段の参道と二の台輪鳥居
境内入口の三の台輪鳥居 手水舎
境内の様子
左側の石段が八幡神社社殿への参道です。
八幡神社社殿への石段参道と上の境内入口
八幡神社社殿を護る建立年代不明の出雲丹後狛犬
狛犬の拡大写真はこちらで
社殿全景
拝殿
拝殿に架かる注連縄
左末右本で左綯いのごく普通の締め方ですが、藁を白布で包んであるのが珍しいですね。
拝殿の木鼻・龍
本殿
本殿縁にいる陶器製神殿狛犬
何処の窯元で造っているのか分かりませんが、時々見かける焼き物です。
狛犬の拡大写真はこちらで

境内社:幡生神社
社号標と社殿
幡生神社を護るブロンズ狛犬
極小さい物ですが、ふてぶてしい顔つきで存在感があります。
狛犬の拡大写真はこちらで
「はたを織る大石(伝説)」案内はこちらで
大石の写真は撮り忘れてしまいました。ごめんなさい。
機織り伝説のある「機織りの池」

境内三社入口の台輪鳥居
境内三社を護る建立年代不明の狛犬
阿吽の位置が反対で、インパクトの強い顔つきの狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
境内社:神明神社
境内社:白山神社 境内社:稲荷神社
神輿殿 夫婦杉