八坂神社

南房総市府中273(平成23年3月5日)

東経139度53分27.53秒、北緯35度0分39.22秒に鎮座。

 この神社は館山市との境界である平久里川の東に鎮座しています。鳥居と灯籠が立つ入口から参道を行くと右手に府中興府会館が建ち、この日は祭礼の相談があったのか、私達と相前後して、氏子さん達が三々五々集合してきました。
 木々に囲まれた境内の奥に、入母屋造りの拝殿が建立され、瓦屋根の立派な鞘堂内に彫刻が施された本殿が建立されています。拝殿前にいる怪獣のような顔つきの狛犬は、此の地域としては変わり種で面白かったです。

 この社に案内は無く、御祭神・勧請年月・縁起・沿革等は全て不明です。
 「南房総市公式サイト」に「開かずの厨子」という次のような伝承が載っています。
 『旧三芳村府中地区に八坂神社がお祀りされています。古くは祇園社と呼び、長い歴史がありますから、社の縁起や伝承の中には不思議なことが語られています。そのお話です。
 いつの世の頃か、府中の地に白髪の老人が一基の厨子を持って現れ、里人たちに「我は出雲大社の神官なり。当社の神体を安房の国府の郷へ、安置いたすべしとの神勅を蒙り、この地に来たれり、此の厨子に入った神体を祀れば、疫癘(流行病)悪病災難は無くなるであろう」と言い、白い雉子になって飛び去ったそうです。
 白髪の老人から授かった神体は霊験あらたかで、社を創建以来、府中の里を病の難からお守りくださっているのですが、神体は秘神体とされていましたので、代々の別当や高僧でも、厨子を開いて神体を拝むことはかないませんでした。もし厨子を開こうとすれば、たちどころに天罰が下るからです。過ぎた昔のことですが、ある別当が神体を拝もうと思い、厨子に手をかけますと、忽ち目がくらみ、転倒してしまったそうです。』

神社入り口
参道の様子
境内の様子
拝殿前、天保13年生まれの狛犬
阿吽の位置が反対で、共に頭上に穴が開いています。怪獣のような顔つきですが、台座にまで狛犬が彫られた丁寧な造りで、背骨両脇にも鬣が垂れ下がっています。

狛犬の拡大写真はこちらで
(天保13年(1842)壬寅11月吉日建立)
入母屋造りの拝殿
拝殿内の様子
本殿鞘堂と本殿