赤倉信仰

津軽平野の中央にそびえる岩木山。別名、津軽富士とも言われるこの山は岩木山・鳥海山・厳鬼山(岩鬼山)の3つの峰からなり、厳鬼山は別名赤倉山とも言われます。この赤倉山を御神体とする赤倉信仰が、岩木山の北東(多分赤倉山が見える地域)に幾つか存在するようです。

赤倉信仰は、岩木山三峰のなかの一峰・岩鬼山を赤倉山と異称する信仰である。岩鬼山=赤倉山の神を、特に「赤倉大神」と呼んでいる。なぜ「赤倉」かというと、岩鬼山の北東斜面に「太陽に照り映える赤肌の断崖」があるゆえだ。
小館衷三『岩木山信仰史』。

これらの赤倉信仰の神社は、神社庁公認の神社ではなさそうです。青森県神社庁には記載がありません。明治政府に禁じられた邪教・淫祠と見なされたのでしょうか。もっとも吉野や出羽三山等、修験道は徹底的に弾圧されたようなので、ここも似たような状況であった筈です。岩木山信仰の公認部分は岩木山神社となり、未公認の部分がこれ等の赤倉山神信仰となったように思われます。

岩木山神社が日本の北門鎮護の霊場となり、高照神社が津軽家の守りとされ、民衆は赤倉山信仰に生活の拠り所を求めたのでしょうか。何れにせよ他の神社に見られる信仰とは全く違う信仰が今も息づいているようです。