男鹿市払戸字渡部(平成18年7月24日)
この神社は304号線・払戸箱井線に面して鎮座していますが、参道が長く500m先に社殿が建っています。
ここは江戸時代、秋田藩第一の開拓事業家と言われた渡部斧松翁命と石戸別命を祀った神社です。
渡部斧松翁は、山本郡桧山の生まれですが、江戸で鍛冶・鉱山技術を学び、1820年、27歳の時に男鹿船越の代官所に勤めていた叔父とともに払戸村鳥居長根の開墾に着手しました。水源を滝の頭湧水に求め、家財の全てを投じ、穴堰の工事を進めましたが、砂質の土壌ため工事は難航しました。1824年、水源地から麓の樽沢村(現・男鹿市樽沢)まで、1974mを開通、さらに工事を進め、長根谷地へ通水を果たしたのは1827年のことでした。続いて新しい村の建設にとりかかり、入植を前提として近郷から農民を募りました。1826年、藩は新村建設を許可、斧松翁にちなんで「渡部村」と命名しました。斧松翁は村に市場、馬市などを開設するとともに、共存共栄、相互扶助の精神を柱に、22カ条からなる「村法」も定めたという事です。(秋田名水紀行参照)