星辻神社

男鹿市北浦湯本(平成18年7月24日)

 この神社は男鹿温泉郷・湯本に鎮座しています。温泉街の旧道に面して玉垣も無く、鎮守の森が落ち着いた佇まいを見せる気持ちの良い神社でした。
 案内によると、「通称北辰神社または妙見常楽院と呼ばれ地域の方々に親しまれているようです。御祭神は天之御中主命、大山祇命、天照大神、綿津見神です。創建は延暦年間(782〜806)征夷大将軍坂上田村磨呂が賊の大瀧丸討伐のため東征の折湯本温泉で休養、この地が霊地であると勧請建立したと伝わっています。その後二度の落雷による火災で社殿は焼失、数々の宝物を失いましたが、田村磨呂将軍の兜に付いていたご神体・妙見像は現在も守られているそうです。明治期の神仏分離までは亀尾山と称し、山伏の常楽院尊寿の開基でもあります。」とあります。
 明治維新後の神仏分離令までは、今でも神社仏閣と一纏めに呼ばれるように、神と仏を混ぜて祀る神仏混淆、神仏習合と呼ばれる状態が続いていました。星辻神社も北辰、妙見様と呼ばれるように、北辰妙見菩薩を祀った神社でしたが、本来の日本の神ではない妙見と仏教の菩薩が嫌われたものと思われます。北斗七星や北極星を妙見菩薩と同じように神格化した天之御中主神が主祭神とされていますから、神と仏がまじわるという意味合いから星辻神社と 改称したのではないでしょうか。
 また今では日本全国にその名を知られた「なまはげ紫灯(せど)祭」は、もともと男鹿市や若美町で大晦日の夜に地域の若者達が面をかぶり、「ケデ」を着て家々を回る重要無形民族文化財「なまはげ」と、真山神社で1月3日に行われる紫灯祭を組み合わせて、観光用に作り出したイベントですが、その歴史は意外と新しく、昭和39年に男鹿温泉郷の星辻神社で行われたのが始まりだそうです。数年間はここで行っていましたが、その後会場が真山神社に移され現在まで続いているのだそうです。

神社入口と銅製の靖国鳥居
参道途中の狛犬と両部鳥居
安政5年(1858)生まれの素朴な秋田狛犬。
頭上が扁平で若干奥眼、歯も牙も見え、口は大きく横に広がっています。
垂れ耳で顎髭も鬣も短めです。前脚の臑毛が膝と付いています。
(安政5年(1858)7月建立)
拝殿 本殿
拝殿の欄間には波乗り兎が二匹います
宝篋印塔 清々しい境内の様子