金峯神社

にかほ市象潟町小滝奈曽沢1・2・9(平成22年8月17日)

東経139度56分44.38秒、北緯39度10分43.49秒に鎮座。

 この神社は秋田県の西南端、にかほ市象潟町小滝に鎮座しています。境内には日本滝百選にも選ばれた「奈曽の白滝」があり、「景勝地」にも指定を受けているので、参拝者だけでなく観光客も訪れる、自然豊かな見所の多い神社です。
 青い目をした出雲丹後狛犬が護る入口には銀杏の古木が聳え、参道左には文徳天皇の天安元年(857)、慈覚大師が鳥海山の手長足長を退治したおり、丈六の観音像を刻み、厭舞を奏したと伝わる「土舞台」が残り、ここでは現在も纏綿とチョウクライロ舞が舞れているようです。
 その後は境内へは石段の参道が続きますが、左横には慈覚大師が築いたと言われる53段の苔生した石段が残っており、心は1200年昔の世界へワープ…。その他、石段途中では鐘楼や杉のご神木、白滝の蛙・タニクク等が見られます。参道がいったん平地に出ると宝物殿が建てられ、殿内には県重要文化財・観世音菩薩像や同じく県重要文化財・木造狛犬、凌王・納曽利の面、番楽舞用面等が所狭しと並べられ、時を忘れ暫し入り浸ってしまいました。
 宝物殿を出ると参道は下り坂、庭園風のお庭の突き当たりに郷土文化保存伝習施設が建ち、その左脇からは石段参道は谷に向かうように急に下がっていきます。薄暗い石段参道途中からは、左側の「奈曽の白滝」からの轟音が心地よく耳に響き、崖に沿った平地に行き着くと社殿が建立される境内となります。
 境内には蝦虹梁上に座る力士が居る拝殿や幣殿・本殿が建立され、境内やその下の眺瀑台からは「奈曽の白滝」が清々しく涼やかで雄大な姿を見せています。

 御祭神:安閑天皇、伊弉册命、事解男命、大日霊命、稲倉魂命、八十枉津日大神
 祭礼日:6月15日、特殊神事:延年チョウクライロ舞(6月第2土曜日)
 由緒:上古蔵王権現と称し、草創は白鳳9年といわれ、当時は諸国に病に当って死ぬ人が多かった。時に役の小角行者勅を奉じて悪疫退散の為諸国を廻り、当山に至り、見ると一つの滝がある。これ誠に霊地である。大和国吉野より蔵王権現を安鎮しようと暫時の間観想を成し給うたところ、不思議なるかな虚空に紫雲あらわれ、その中から金色の光明を放っている。これによって小角その光の下に至り、伏して明王尊を下し、一刀三礼して三日三夜かかり彫刻は成就し堂宇を建立する。大和国吉野より蔵王大権現を勧進して薬師密法大護摩を修し、神呪秘法を尽して祈誓したところ、天下亦息災となる。よって天下第四の鎮護霊場となす。
 合殿鳥海神社は上古立木観音と称す、斎衡3年鳥海山に悪鬼住み往来の諸人を害す。時に慈覚大師勅を奉じて当所に至り、蔵王大権現の前に清浄なる地荘檀行をなし、護摩密法を修業すれば、天地震動山破裂して悪鬼を退治し給う。此地は実に鎖国安民の霊場に過ぎたる所と、一丈六尺の立木観音を自作なされ、蔵王大権現に安置せられる。又閻浮提を設け陵王納曽利の御面を彫刻し、獅子頭を作り舞楽を奉す。今尚その恒例格式により舞楽を奉す。その舞楽を延年チョウクライロ舞と言うのである。
(「秋田県神社庁公式サイト」より)

 この社の「小滝のチョウクライロ舞」についてはサイト「金峯神社と舞楽・鳥海山小滝舞楽保存会」にて詳しい解説が見られます。

社頭
神社入り口の石段参道
石段参道上にいる昭和8年生まれの青い目をした出雲丹後狛犬
狛犬の拡大写真はこちらで
(昭和8年(1933)5月15日建立)
台輪鳥居 社号標
参道左に造られている「土舞台」
下の境内・参道の様子
下の境内にある「板碑」 石仏
「慈覚大師御築之石坂」碑 慈覚大師が築いたと言われる石段と現在の石段参道
鐘楼 参道途中に聳えるご神木

白滝の蛙・タニクク
仏堂と石仏
参道の様子
宝物殿境内入り口
宝物殿
宝物殿内にいる室町時代建立の木製神殿狛犬
宝物殿内の仏像・狛犬・凌王納曽の面等の拡大写真はこちらで
宝物殿から社殿に至る参道の様子
宝物殿前を通り過ぎる辺りから、参道周囲は綺麗に手入れされた庭園内を歩くような感じになり、郷土文化保存伝習施設脇から、石段参道は谷に向かうように急に下がっていきます。薄暗い石段参道途中からは、左側の「奈曽の白滝」からの轟音が心地よく耳に響き、崖に沿った平地に行き着くと社殿が建立される境内となります。
拝殿
拝殿蝦虹梁上に座る力士二体
拝殿彫刻類拡大写真はこちらで
幣殿と本殿

高さ26m、幅11mの奈曽の白滝
境内から見る奈曽の白滝 眺瀑台から見る奈曽の白滝