唐松神社

大仙市協和境(平成18年7月23日)

 この神社は奥羽本線・羽後境駅の南約900mに鎮座しています。すぐ南には物部長穂記念館があり、この神社の宮司も代々物部家の子孫が勤めてきた、物部氏縁の地に建つ神社のようです。
 御祭神は軻具突命、息氣長足姫命、豐宇氣姫命、高皇靈命、神皇靈命で、秋田・物部家に伝わってきた「物部文書」によると、旧名を「韓服神社」といい、その創建は太古にまでさかのぼるそうで、物部家の祖神・ニギハヤヒノミコトは天の鳥船で鳥海山に天降り、雄物川から更にその支流である淀川を遡り、日殿山(唐松岳)に「日の宮」を築いたと記されているそうです。天元5年(982)、物部氏24代長秀が唐松山頂に社殿を奉還、その後延宝年間(1673〜80)山頂より現在地に遷座されました。参拝者の途切れたときに拝殿内にいらした宮司さんにお話をお聞きしたところ、子授け、安産の神として広く知られたこの神社には、近隣のみならず、全国から祈願者が集まるそうです。
 秋田には珍しい樹齢300年をこえる参道の杉並木や、1700年代の狛犬や不思議な穴あき狛犬、一段低い位置に建つ拝殿、円墳の様な形に積まれた玉石の上に社殿が鎮座する不思議な神社、天日宮の存在など、思い出に残る神社となりました。

 

県指定天然記念物
樹齢300年をこえる参道の杉並木
杉並木の間から見える神社入口
社号標 境内入口
天明6年(1786)生まれのへちゃむくれ狛犬。
逞しい体つきですが、この子達は今回秋田で見てきた狛犬の中で二番目のお年寄りです。
残念なことに阿の上顎が欠けていますが、江戸末期に沢山作られた、
所謂、秋田狛犬のモデルではないかと思われます。
(天明6年(1786)6月吉日建立)
参道より階段を下りた一段低い位置に鎮座する拝殿内にある奥殿は、
室町時代の建築とされ、県有形文化財に指定されています。
拝殿正面。注連縄が太く立派です。 奥殿正面。
拝殿内には安産祈願、祈願成就のお礼の鈴が、
所狭しと大小取り混ぜて沢山下がっています。
拝殿の木鼻狛犬
境内社・御休台稲荷神社 境内社・手の神様
境内社・青面金剛 境内社・山の神様
境内社・土木建築の神様 境内社・左・金毘羅神社。
右・三神鎮座
(応神天皇、大国主大神、水岐能女神)


天日宮(あまつひのみや)
(饒速日命、玉鉾神、愛子神 )
社号標と入口
天日宮、境内入口の注連柱
円墳の様な形に積まれた玉石の上に社殿が鎮座する不思議な神社、天日宮。
御祭神は三柱之大神(饒速日命(ニギハヤヒノミコト)、玉鉾之神、愛子之神の三神の総称)。
『物部文書』に記された古代の様式を再現したとの説がある社殿で、
古来から男性は右回り、女性は左回りで鈴を鳴らしてお参りするものとされているそうです。
天日宮社殿 天日宮社殿裏にある摩訶不思議な石達


社殿も不思議なら狛犬も変わっています。目が大きく眉毛は太く盛り上がっています。筋肉は隆々としていますが、お腹の下に刳りぬきがありません。所謂、はじめタイプです。鬣や尾も全くありません。一番不思議なのは、身体のあちこちに開いている穴ですが、ふと閃いたことは、全ての穴が毛に関係する場所に開いているので、この狛犬はこの穴から何らかの毛の代用となる物を生やしていたのではないか?というものでした。全く根拠のない閃きで自信がありませんので、何方かご存じの方がいらしたら、ご一報ください、お願いします。

天日宮右側の池に建つ碑。
一番大きい物には「天日宮 玉鉾神社 唐松神社」の文字が見えますが、小さい碑の文字は読めませんでした。

玉鉾大神碑

天日宮入口前の見事な枝振りの紅葉の大木

狛犬、社殿の拡大写真はこちらで