神明社

秋田市河辺戸島七曲(平成18年7月23日)

 この神社は秋田自動車道・河辺Jctの西約600mに鎮座しています。水田地帯の中に大きな杜を持つ神社で、境内にはいると汗がス〜ッとひく感じがしました。階段をあがった境内には、すぐに大きな狛犬が居て、正面奥には重厚な拝殿が建っています。この拝殿の挙鼻や木鼻には彫刻が施され、社殿四隅の屋根を四天王か邪鬼?が支える構造になっていました。

 落ち着いた由緒のありそうな神社でしたが、創建由緒については何の解説もありませんでした。只境内には、明治期にこの地域の方達のために杉の植林を促進した、郷土の恩人の碑が建っており、それによると江戸期までは藩主が参勤交代の折りなどに、ここで宿泊するほど栄え崇敬されていたそうです。神明社なので、御祭神は天照皇大神と思われます。

 この神社では、8月28日に梵天の奉納が行われていますが、この梵天祭は秋田固有の祭事であり、県内各地で特色ある梵天祭が行われて居るようです。「梵天」とは神様のお降りになられる象徴、神聖な場所を意味するものであり、祓い清めるためのものという意味も併せ持っているそうです。現在では一般的な梵天は、竹で編んだカゴを、色彩豊かな布・錦で飾り付けたものが多く、ほうづき、鉢巻、本体、中心の棒からなり、御幣・お守りが付けられているそうです。語源は「ほで」という古語で、いわゆる「秀でたる」意味を有し、神様が降りられる祭場を標示するため、高く茂った樹木や竿に御幣・幣束をつけて標示したとされます。「梵天」という字をあてはめたのは、修験道との結びつきによるもので、県内各地で「梵天祭」を行っている神社はすべて、修験道の系統を引いている社だそうです。(太平山三吉神社総本宮HP参照)

 またこの近くではお花見の名所・戸島桜並木がトンネル状になっており、井戸尻台地内では戸島清水が滾々と湧き出している、自然の豊かな地です。

神社遠景 社号標「神明社」
参道の一の明神鳥居 参道の二の両部鳥居
境内への階段 参道の様子
慶應元年(1865)生まれ。
秋田にきて始めて見た狛犬ですが、精悍で出来の良い狛犬です。
今思うと秋田では珍しく阿が玉取です。威厳はあるけれど険しくなく、
堂々とした身体には瘤が残り、渦状の鬣の下からストレートヘアーが伸びています。
尾は背中に沿って五本に枝分かれして立っています。
(慶應元年(1865)8月28日建立)
重厚な拝殿 拝殿の額
拝殿内に架かっていた大きな奉納額
本殿正面 本殿
拝殿の挙鼻には立体的で今にもこちらに出てきそうな龍の彫刻が彫ってあります。
柔和な木鼻狛犬
拝殿の四隅を支える四天王?邪鬼?と思っていたら、力士像だそうです。
秋田市周辺・主として南東部でこの造りを何社かみましたが、ここの彫刻がずば抜けて良く、
卓越した技術力を持つ宮大工さんが造られたものと思われます。
神馬殿 境内社・稲荷神社
境内社・金比羅宮外観と内部の様子
境内には羽黒トンボが優雅に飛んでいました。 今を盛りと咲き誇る百合の花。
芳香が疲れをいやしてくれます。