日吉八幡神社

秋田市八橋本町1(平成18年7月26日)

 この神社は八橋運動公園北に鎮座しています。
 案内には「秋田市外町(町人町)の鎮守で、八橋の山王さんの名で知られている。起源が古く、近江(滋賀県)の日枝山王と京都の石清水八幡を勧請したものである。
 平安時代には秋田市郊外の笹岡に祀られたが、鎌倉時代には上新城に移された。 さらに天正17年(1589)には檜山の安東実季が土崎の安東道季との湊合戦で勝利をおさめ、日吉八幡神社を守護神として飯島に遷座した。その後、初代秋田藩主・佐竹義宣は元和元年(1615)、八橋の狐森に移した。寛永十九年(1642)雄物川の氾濫で社地が流されたので、現在地に社を建て、寛文2年(1662)に遷宮した。
 明和年間の大火で類焼し、現在の拝殿は安永7年(1778)、本殿は寛政9年(1797)に建てられたものである。」とあります。この社殿は「権現造り」で見事な彫刻類から「秋田の日光廟」と呼ばれています。
 藩政時代は、今の旭川を境に、東側は内町と呼ばれる侍町、西側は外町と呼ばれる町人の町でしたが、日吉八幡神社は、外町からは遠かったため、人々は御輿をかついで町を練り歩く御差鉾行列を行い、自宅の前で商売繁盛や家内安全などを祈願してきました。この御差鉾行列と稚児行列は、現在も毎年行われています。(広報あきた参照)
 町中にありながら、何しろ広大な社地で、鎮守の杜は深く、数々の県指定有形文化財を有する、「歴史の宝庫」と云われるのを実感出来る神社でした。狛犬も5対(+1対)も居り、神橋や本殿には神猿、その他数多の彫刻類は他に類を見ない程です。
 といってもとても静かで落ち着いた佇まいで、神社好き、狛犬好きには是非お薦めの神社です。

社号標「縣社 日吉八幡神社」 東参道入口
昭和15年生まれのチョビ髭おじさん狛犬。
江戸狛風ですが、鼻の下が長く、ここ秋田では希少価値の高い狛犬です。
(昭和15年建立)
此方は昭和4年生まれの浪花風狛犬です。関西系よりは寝た感じがします。
(昭和4年建立)
参道の様子 県指定有形文化財・神楽殿
皇紀2600年生まれのブロンズ狛犬。一段と厳しいお顔をしています。
(皇紀2600年(昭和15年)建立)
境内の県指定有形文化財
銅製の鳥居と神橋
県指定有形文化財
八幡大神と日吉神社相殿の拝殿
拝殿の「八幡大神」額 壇ノ浦・源平合戦の様子を描いた奉納額
八幡大神の木鼻狛犬
拝殿の「日吉神社」額 拝殿に奉納されている「六歌仙」額
日吉神社の木鼻狛犬
県指定有形文化財の本殿
本殿妻の神猿。高い所から社殿を守っています。
本殿四方を守る神獣・龍頭
境内社・大山祇神社社号標 大山祇神社入口
大山祇神社社殿 境内社
昭和25年生まれの秋田狛犬。
逞しく堂々とした良い造りですが、阿の上顎が欠けています。
(昭和25年5月12日建立)
境内の様子 珍しい金属製の灯籠
灯籠で遊ぶ狛犬達
神橋欄干の神猿 境内の歌碑
神橋の擬宝珠は神猿でした
宝永4年(1707)に豪商青木平兵衛が
父の菩提供養のために建立した
県指定有形文化財・
朱塗りの木造三重塔
明治3年廃寺となった
寿量院から移築した
県指定有形文化財・随神門
随神門近くの北側参道にいる明治14年再建の素朴な狛犬。
この狛犬を見ると、再建が狛犬は残し台座のみを新調したのか、
先代さんを模して全て再建したのか、私達には判断がつきませんでした。
(明治14年再建)
北側参道社号標
お向かいの不動院。神仏混淆であった江戸時代までは
日吉八幡神社の別当寺院だったのでしょうか。
嘉永6年(1853)生まれの秋田狛犬。
堂々とした体格で筋肉の盛り上がりがよく見える力強く逞しく威厳のある、
秋田狛犬の見本のような良い狛犬です。全身これ全て手抜きがありません。
惜しいことに表面が焼けこげたような跡があります。
(嘉永6年(1853)4月吉日建立)